嘘デビリン占い10/9

朝ランドセルをしょって学校へ向かった僕は、通学路で懐かしいものを発見しました。それは、面白くて、太っちょで、陽気で、そしてとても。そう、小さいころ隣に住んでいた菊田のお兄さんです。カブトムシほどに小さくなった菊田のお兄さんは、無い足を引きずりながらヨタヨタと僕について来ました。しばらくは無視して歩いていた僕ですが、いつまでも着いてくるお兄さんが嫌になったので、踏んづけてやることにしました。キッと後ろを振りむいた僕。真っ赤に充血した僕の目玉に気付いたのでしょう。お兄さんは無い頭を地面に擦り付けて命乞いを始めました。ほら、もう僕のほうが強いんです。だって僕は大人になったんだから。お兄さんは土下座の姿勢で地面に何度も頭を打ち付けます。ガンガン。ガンガン。ガンガン。ふと、僕は気づきました。お兄さんが一回地面をたたくごとに、お空と地面が離れていくのです。もう随分離れてしまったようで、気づけばお天道様が米粒ほどの大きさに。あたりはすっかり暗くなってしまいました。逃げなければ。僕はその場を駆け出しました。勿論後ろからお兄さんも追ってきます。僕は叫びます。助けて!お巡りさん!助けて!でも誰も来ません。そういえばあの時もお巡りさんは助けに来てくれませんでした。小さかったお兄さんが背後でムクムクと大きくなっているのが僕にはわかります。逃げなければ。でもどうして逃げているのでしょうか。僕はもう大人なのに。指の一本一本がおちんちんの大きな手が、僕の肩にねっとりと絡みつきました。ところで伊集院さん。